地域主権改革に関わる条例委任についての要請書

2011年9月12日

愛知県知事  大村 秀章 様
愛知県民集会

愛知県労働組合総連合
議長  榑松 佐一
日本自治体労働組合総連合愛知県本部
執行委員長  伊藤 慎次
愛知県医療介護福祉労働組合連合会
執行委員長  鈴木 弘之
全国福祉保育労働組合東海地方本部
執行委員長  三冨 和歌子

日頃、地方自治の発展と住民福祉の向上にご尽力されていることに敬意を表します。

さて、地域主権改革関連法(第1次分・第2次分)の成立により、国の「義務付け・枠付け」は県、政令市、中核市などで政省令による基準に基づき条例化が行われます。

この条例委任は、特に保育所や障害児施設などの福祉施設の最低基準をなくし、国の責任をなくして地方に責任を押し付けようとするものです。最低基準は、例えば、児童福祉法45条において「児童の身体的、精神的及び社会的な発達のために必要な生活水準を確保するものでなければならない」とうたわれています。国が最低保障水準を明らかにし、財政保障の基準ともなる、文字どおりの最低基準であって、諸外国と比べ極めて低い水準にあることから、むしろその引上げこそが求められているものです。基準撤廃により、施設面積や防災機能などがあいまいにされるとともに、例えば保育所の避難用滑り台の設置も義務付けられなくなるなど、安全にかかわる重大問題も明らかになっています。

「地域のことは地域住民が決める」とうたっていますが、国が社会保障、社会福祉などの人権保障、ナショナルミニマムを保障するという前提があった上での地方分権でなければなりません。「地域主権改革」により、人権保障、ナショナルミニマム保障についての国の責任を放棄し、財政責任をあいまいにするものです。規制緩和の流れとも相まって、営利企業の参入による詰め込み・低コストのサービスの拡大に通じることも危惧されます。

各市町村は、基本的には、県条例に基づき自治体として基準を決定することになります。県の条例化の内容が市町村の行政サービスの水準を決定することになります。

よって、愛知県に対して以下の点を要請します。

  1. 県の条例化にあたり、現在でも不十分な最低基準を引き下げることなく、現行の基準を維持・改善すること。
  2. 自治体が現行の基準を維持・改善できるよう、財源の保障を国に求めること。
  3. 住民福祉の増進の立場から社会保障・社会福祉などに関わる人権保障、ナショナルミニマムの保障を国に求めること。
  4. 「義務付け・枠付けの見直し」等のための構造改革特区の共同提案から脱退すること。

以上

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