愛労連2013国民春闘方針

愛労連2013年度第2回評議員会(2012年12月16日/労働会館東館ホール)
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愛労連2013国民春闘方針


 

はじめに――2013国民春闘で何をめざし、どうたたかうか

 

<春闘でめざす課題は>

◇深刻化する貧困の克服にむけて展望を示す春闘に。

◇「正規があたりまえ」などまともな雇用の確立をめざす春闘に。

◇賃金の低下に歯止めをかけ、賃上げに転換する春闘に。

◇解雇自由を許さない(社保庁、JAL、電機リストラ)春闘に。

◇要求実現と結びつけた組織拡大強化をめざす春闘に。

◇消費税増税中止、社会保障解体を許さない春闘に。

◇オスプレイ配備・低空飛行訓練反対、憲法を守り、日米安保破棄をめざす春闘に。

◇脱原発・TPP参加阻止をめざす春闘に。

◇要求、国民的課題で地域に積極的に打ってでる春闘を。

◇大企業の横暴に反対し、地域経済の活性化・新たな仕事おこしにむけた共同を追求する春闘に。

 

 <国民的運動の高まりのなかで>

 ○貧困、賃金の低下と長時間労働、雇用破壊、増税・社会保障解体、原発再稼働、オスプレイ配備強行・日米同盟の深化、憲法改悪・集団的自衛権行使…労働者・国民の願いとは逆の方向にむいた政治のあらゆる分野で国民の反撃がはじまっています。

○官邸前ではじまった脱原発のたたかいは広範な市民が主体となって、全国各地で空前の盛り上がりをみせています。政府をあやつる日本経団連前でも抗議行動が拡大しています。

○「反貧困ネットワーク」など、これまで政治に〝無縁〟だった若者が日常的な活動を展開しています。ヨーロッパでも新自由主義的な「緊縮財政」に反対する労働者・労働組合のたたかいはかつてなく高揚しています。

○自民党の支持基盤であったJA(農協)や医師会はTPP参加反対で共同がひろがっています。中小企業団体などとの新たな共同もはじまっています。

 ○連合は民主党の支持母体として悪政推進に加担しています。労働組合としての役割を放棄し、内外で批判の声があがっています。いまこそ、〝全労連の出番〟として、大企業の横暴、民自公3党の悪政と対決し、2013国民春闘をたたかいぬきましょう。

 

Ⅰ 情勢の特徴とたたかいの方向

 

1.今日の情勢の特徴と基本的対決点

 

(1)貧困と格差が深刻化する一方で、日本社会でも富裕層が増加している

 

① 日本の相対的貧困率(貧困線に満たない世帯員の割合)は2009年で16.0%、「子どもの貧困率」(17歳以下)は15.7%となっており、いずれも90年代以降一貫して増加し、改善傾向はみられません。とくに、生活保護受給者約211万人のなかで、労働者を含む「その他世帯」の受給数が2010年からの2年間で6万世帯増加していることは、労働者の貧困化を示しています。

② 国税庁の2011年民間給与実態統計調査の結果では、民間企業の労働者の平均給与は409万円で、2010年に比べて3万円(0.7%)下回りました。業種別にみた場合、もっとも高額だったのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の713万円で、もっとも低い「宿泊業、飲食サービス業」の230万円の3倍弱という産業間格差は改善していません。また男女別では、男性が前年比3万6000円(0.7%)減の504万円、女性が同1万4,000円(0.5%)減の268万円という状況にあり、年収200万円以下の労働者は全体の23.4%・1069万人にのぼり、常用労働者の4人に1人がワーキングプアという状況です。

 ③ 労働者の貧困化の進行は、児童虐待の急増、経済的理由による自殺者増などに反映していることを政府資料(労働経済白書)でも読みとることができます。その一方で、アメリカの資産会社が調査した結果では「100万㌦以上の投資可能資産を有する富裕層」が、日本はアメリカに次ぐ182万人(2011年)で、前年比4.8%増となっています。大企業への富の集中(資本金10億円以上企業のみで内部留保267兆円)とあわせ、富の偏在がすすんでいます。その原因は、税・社会保障制度による「富の垂直的な再配分機能」の低下にあります。このような状態が顕在化している時に、逆進性の強い消費税を増税し、最低生活保障の基準である生活保護基準を引き下げる施策の逆行と弊害は明らかです。

 

(2)すすむ雇用の流動化、改善されない長時間・過密労働

 

 ① 2012年7月の完全失業率(季節調整値)は4.3%、男性は4.5%で前月と同率、女性は4.1%と前月に比べ0.1㌽上昇し、15~24歳の完全失業率(原数値)が8.3%と1年前に比べ0.2㌽上昇しました。

 ② 文部科学省の2012年度の学校基本調査(速報)によると、2012年春の大学卒業者のうち「正規の職員等でない」「一時的な仕事に就いた」「進学も就職もしていない」をあわせた「安定的な雇用に就いていない人」が12万8224人にのぼっています。青年層の雇用状況の悪化は深刻です。年収200万円以下の8割が非正規労働者で、30歳代の76%が未婚です。将来の労働力確保、税収や社会保険料収入が見込めず、大きな不安がひろがっています。

 ③ 2011年度に精神障害の労災を請求した件数は1272件で、前年比8%増と増加傾向が続いています。10月に厚生労働省が発表したところでは、2011年度に全国の労働基準監督署が是正を指導した不払い残業(1企業100万円以上)は、1312企業(前年比74企業増)、145億9957万円(前年比22億7599万円増)で、建設・金融・小売りなどの産業で多額な是正指導がおこなわれています。違法な不払い残業も是正方向にはありません。

 ④ 10月1日には「改正」労働者派遣法が施行され、10月10日の労働政策審議会では労働契約法「改正」(有期契約)に関わる政省令案の答申がおこなわれました。10月2日には「改正」高齢者雇用安定法の省令検討が開始されています。なお、年金支給開始年齢の引き上げにともない、60歳代前半の賃金水準・体系等について、高齢者雇用義務化を口実にした人事、賃金制度の改悪の動きもNTTなどで顕在化しています。

 ⑤ 通常国会への法案提出が準備されているパート労働法や、10月に改正論議が開始された男女雇用機会均等法の実効性ある改正を実現し、労働者派遣法などの再改正を求めるとりくみをすすめるうえでも「改正」法の職場への適用についてのとりくみは重要です。

 ⑥ 雇用の弾力化(非正規化)の攻撃を強める財界の攻撃をはねかえすためにも、「期間の定めのない」雇用の実現を求め、必要な人員確保と賃下げなしの労働時間短縮を使用者に迫り、差別・選別のない高齢者雇用を実現するなど、制度闘争とも結んだ職場のたたかい強化が求められています。

 

(3)社保庁・JAL・電機産業…「大量解雇はあたりまえ」であるかのように

 

 ① 日本年金機構への移行にともない、525人もの不当解雇者をだした旧社会保険庁、JAL(日本航空)における年齢・所属組合の差別による大量解雇、また電機産業全体で13万人にもおよぶリストラが進行しています。社保庁職員の解雇撤回のたたかいは、年度内に人事院裁定をださせる段階にさしかかっています。日本年金機構は大量の解雇者をだした一方で、人員不足のため、あらたに非正規労働者を雇い入れるなどしており、移行時の解雇がまったく根拠のないことを示しました。

② JALの大量解雇は裁判でたたかっていますが、12年3月29・30日の東京地裁判決は「会社更生法」のもとでの解雇はあり得るとする判決をだしました。これは「整理解雇4要件」を真っ向から否定する判決で、これをはね返すために現在東京高裁でたたかっています。

 ③ 電機産業の大リストラは、企業側の横暴なやり方ですすめられています。NECでは対象者を何度も上司が面接し、「君にはここで働いてもらう場所がない」など退職を強要、日本IBMでは「ロックアウト解雇」といわれるように、終業時、突如上司が労働者に「業績不良により、解雇する」という書面を読みあげるというものです。シャープやソニーなど電機産業は、工場そのものを撤退させています。岐阜県美濃加茂市のソニー工場は2013年3月に閉鎖を決定し、正社員は配転、非正規労働者は雇い止めにすることを明らかにしました。1700人近い非正規労働者が働いていましたが、こうした大量の雇い止めは、労働者の生活を困難にするだけでなく、地域に多大な影響をあたえます。当該自治体はソニーに強く抗議すべきです。

④ JMIU愛知地本と岐阜県労連が共同して10月29日、ソニー美濃加茂工場前で宣伝行動をおこない、相談会を実施してきました。非正規労働者・外国人労働者を中心に100人が組合に加入しました。このような大量解雇、「整理解雇4要件」を無視したやり方が通るようになれば、どんな産業でも企業規模でも拡大していく可能性があります。JMIUや支援共闘会議などとともに、不当解雇をはね返していくたたかいが重要になっています。

 

(4)経済のグローバル化、大企業の横暴な振る舞いが激化しているもとでの春闘

 

① 経済のグローバル化は国民経済に深刻な打撃をあたえています。大企業の利益が国内の産業や労働者・下請企業には還元されず、株主配当、内部留保、海外投資にむけられています。徹底したコスト削減が労働者の低賃金・雇用破壊と貧困・格差の拡大、中小企業や第1次産業をはじめ地域経済の衰退をもたらしているのです。

 ② 自動車・電機の海外生産比率は国内生産を上回っています。トヨタは6割を海外で生産する計画です。進出先は北米・欧州、最近はアジアへの比重を高めています。部品の調達も現地調達が拡大し、進出できない国内の下請企業は大きな痛手をうけています。県内の中小企業は、こうした親企業の海外進出とともに、後継者不足などの理由もふくめて廃業・倒産で減少しているのが現状です。

 ③ 日本経団連は、「2013経労委報告」にむけて協議を開始しています。労働ペンクラブのヒヤリングでは、産業・企業のきびしさを強調しました。その内容は「円高、欧州債務危機、中国の影響、貿易赤字、産業空洞化、エネルギー供給不安」などをあげています。

 ④ 2013春闘では「(12春闘で打ちだした)企業生きのび労使パートナーシップ対話」をあらためて主張するとみられています。そして賃金は統一闘争を否定し個別企業で判断を求める「自社型賃金」を前面に押しだすかまえです。賃金闘争は各社バラバラにされ、このことが賃金の破壊につながってきたのですが、日本経団連は2013春闘でもこの姿勢をつらぬくとしています。内部留保を267兆円(11年)も貯め込みながら〝危機感〟をあおる財界。2013春闘ではますます内部留保還元のたたかいが重要になってきます。

 ⑤ 民主党政権の「日本再生戦略」は、グローバル企業応援そのものです。原発・水資源・鉄道など、インフラを中心に〝輸出〟をすすめようとしています。日立・東芝など重電機産業は、原発輸出でいくつかの国と契約をとりつけています。グローバル企業の海外進出、政府の新自由主義「構造改革」路線のもとで、地域経済は都市部でも中山間部でも衰退しています。農林水産業をはじめ、地域での産業再生、自然エネルギーへの転換で地域経済の活性化を雇用の拡大こそ、経済立て直しの道です。そのためにも、グローバル企業に対し「社会的責任」を強く求めていく必要があります。

 

(5)増税・社会保障解体を強行した民自公に審判を

 

 ① 民自公3党は、2014年に8%、15年に10%に引き上げを強行しました。3党の横暴に国民の怒りはおさまりません。強行後も6割近い人が「消費税増税反対」のこえをあげています。引き上げの間までに国政選挙があり、消費税増税阻止・中止は可能です。

 ② 消費税増税による日本経済への影響は、実質GDPを押し下げ、逆に税収を落ち込ませることが指摘されています。消費税収が増えても経済が低迷すれば所得税や法人税が減収となり、財政は悪化します。ニッセイ基礎研究所は「2014年度に8%に引き上げられればマイナス成長となり、15年に10%への引き上げは困難になる」と試算しています。

 ③ 年収300万円以下では消費税が10%になれば年間7.6%の支出が増え、可処分所得を減らし、さらに格差を拡大することは明らかです。また中小自営業者は帝国データバンクの調査では67.1%の事業所が悪影響を懸念し、4割以上の企業が価格に転嫁できないとし、まったく転嫁できない企業も10%にのぼるという結果がでています。

④ 消費税にたよらない税制改革は可能です。所得税・法人税の税率を1988年段階にもどす、また富裕税の新設や社会保険料上限の見直しなどによって消費税は増税しなくてもすみます。法人税は下げる、消費税は引き上げるという民自公3党に、これ以上政治を任せるわけにはいきません。

 ⑤ 「社会保障制度改革推進法」も同時に成立しました。「推進法」は、社会保障の基本を「自助・自立であり、自助・共助・公助のもっとも適切な組み合わせ」と定義し、「権利としての社会保障」の理念を根本から否定するものとなっています。消費税を主要財源にすることは、消費税収の範囲内に社会保障を押さえ込む「自動抑制装置」そのものです。

⑥ 「推進法」に医療や介護の「保険給付の対象となる範囲を適正化」と盛り込んだことは、公的保険でかかることができる医療・介護を制限するねらいがあります。保険はずしによる自己負担の増大などで「国民皆保険制度」を空洞化させることは必至です。年金支給額の削減(2.5%)や支給開始年齢の繰り延べ(現行65歳をさらに繰り延べる)や共済・厚生年金の一元化、生活保護支給水準の引き下げなど、社会保障全般にわたる改悪が含まれています。

 

(6)オスプレイ配備はただちに中止しなければならないこれだけの理由[1]

 

 ① 米海兵隊・垂直離着陸機MV22オスプレイが10月1日、沖縄・普天間基地への配備が強行されました。9月9日の「オスプレイ配備反対」県民大会には10万1000人が参加し、「オール沖縄」でオスプレイ配備反対・高江ヘリパッド建設反対のたたかいがひろがっています。

 ② 普天間基地だけではありません。本土に7本の「飛行訓練ルート」があり、低空飛行訓練、夜間飛行訓練を実施するとしています。年間330回程度(接受国通報)といわれています。これまでも戦闘機の低空飛行訓練で事故が多発しているにもかかわらずです[2]。

 ③ なぜ日本政府はアメリカに対し「危険なオスプレイ配備はやめよ」といえないのでしょうか。政府はこれまで「事前協議」があるから「ノー」といえる余地はあると説明してきました。しかし事前協議は「密約」によって〝骨抜き〟にされていたのです。日米安保・地位協定・「密約」による呪縛で、野田首相も玄葉外相も森本防衛相はなにもいえず、国民のいのちよりアメリカの利益を優先しているのです。これでは日本はアメリカの属国・植民地です。

 

(7)脱原発、復興そっちのけの民主党野田内閣

 

 ① 民主党の「新エネルギー政策」は「2030年に原発稼働ゼロ」をめざすとしています。ところがこうした「民主党案」に、財界とアメリカは圧力・恫喝してきました。日本経団連の米倉会長は「承服しかねる」と伝え、米エネルギー省ポネマン副長官は「このような措置を実際にとれば意図せざるを得ない影響もあり得る」とのべ、「米戦略国際問題研究所」ジョン・ハムレ所長は「原子力は日本の担うべき責務」とし「国家安全保障上の観点からも日本は『原子力国家』であり続ける必要がある」とのべ、脱原発路線に対する圧力を強めています。

 ② 民主党政権は、アメリカ・財界の圧力に屈して「2030年にゼロ」を打ち出せませんでした。10月14日に閣議決定された「エネルギー戦略」は、事実上「原発存続宣言」となりました。「将来について確定的に決めるのは無責任だ」(国家戦略会議)とし、青森「大間原発」の建設を容認しました(枝野経産相)。民意を無視した政府の背信・裏切りに怒りがわきおこっています。

③ 野田内閣と自公は、19兆円もの復興予算を復興とはまったく関係のない分野に流用したことが明らかになりました。被災地の復興そっちのけで、リストラをすすめる電機大手への補助金(国内立地推進事業費補助金)、原子力ムラの研究事業費(高速増殖炉「もんじゅ」を運営している「日本原子力研究開発機構」の核融合エネルギー研究費に42億円など)、自衛隊の国民監視のための機材更新、さらに防衛省は悪のりし、C130輸送機の購入ももぐり込ませていました。

 

(8)TPP 日本「壊国」へのシナリオ

 

 ① TPP(環太平洋経済連携協定)に参加すればアジアの成長を取り込み、経済が活性化するのでしょうか。ありえないことです。成長いちじるしい中国は参加しません。逆にアジアに亀裂をもたらすことになります。

 ② TPPは米国主導の経済覇権です。TPPは24分野にわたって協議がされています。どの分野も日本には不利になります。とくに農業は壊滅状況になります。労働分野も医療分野もすべて、「アジア太平洋地域での(アメリカ型の)ルール・規範づくりに積極的な役割を果たす」(オバマ大統領)ことにほかなりません。

③ そのもっとも危険な内容が「ISDS条項」(投資家対国家の紛争解決制度)です。調停機関は世界銀行のもとにおかれ、これまでにもアメリカ(の投資家)有利の裁定がだされてきました。12年3月15日に発効した「米韓FTA」は、この「条項」があるために、韓国内の憲法や国内法における土地や公共性のための規制さえ「FTA協定」が上回る内容になっているといわれています。「米韓FTA」の轍をふまないためにもTPPには絶対参加させないとりくみが必要です。

 ④ アメリカとの「事前協議」の段階でBSE牛肉の検査を20か月齢を30か月齢に規制緩和、郵政完全民営化など、アメリカは日本に対して、まるで「入場料」でも払えというように難題を押しつけています。さらに「遺伝子組換え作物」がこれまで以上に大量に入ってくることになります。NAFTA(北米自由貿易協定)で、メキシコ固有種のトウモロコシは地域によっては壊滅的な打撃を受け、農村から大量の労働者がアメリカに〝出稼ぎ〟として働いています。

⑤ TPP参加を推進する日本経団連会長の米倉弘昌氏は住友化学会長。その住友化学は米国の遺伝子組み換え種子・強力除草剤のバイオ化学メーカーである「モンサント社」との長期的協力関係で合意しているのです(2010年10月)。モンサントは日本への売り込みを強調しています。遺伝子組換え作物は、人体にどのような影響がでるかだれもどこも実証していないのです。問題は(遺伝子組換え農産物の)種子を独占つづけているアグロバイオ企業から毎年種子を買わなければならないという事態になります。さらに、在来種を栽培しているとなりで遺伝子組換え作物を植え、自然交配した場合でも「モンサント社」は、種子の特許をタテにばく大な損害賠償金を請求しているのです。

 

(9)憲法改悪と集団的自衛権行使、ナショナリズムあおる政治勢力の台頭

 

 ① 総選挙にむけて各政党、離合集散をくり返している新たな〝政治勢力〟の動きを正確にみておく必要があります。

 第一に、民主党政権は野田首相になって以降、完全に自民党化したということです。ほんのわずかな国民のくらしを守る公約は完全に投げすて、財界・アメリカいいなりの政権に成り下がったことです。消費税増税・社会保障改悪、原発推進、TPP参加などあげれば切りがありません。もはや政権を担当する能力も資格もありません。

 第二に、自民党はいっそう右傾化してきたということです。かつて政権を放り出した改憲派の安倍晋三氏が総裁になり、幹事長は〝軍事オタク〟の石破茂氏。尖閣諸島や竹島(韓国名:独島)問題に乗じて憲法9条改悪と集団的自衛権行使[3]を主張しています。自民党の政権公約である憲法「改正」案[4]は、自衛隊を「国防軍」と位置づけるなど、戦争への道を突きすすむことをうちだしています。

 第三に、東京都知事を辞任した石原氏を代表にすえた「維新の会」です。〝第三極〟勢力などとマスコミは持ちあげていますが、彼らの本質は「競争主義」であり、「小泉路線」の復活そのものです。いまの閉塞感や国民の不安・不満の高まりに「排外主義的ナショナリズム」をあおって支持を集めようと躍起になり、あげくのはてに「日本の核武装」まで発言するにいたっています。しかも、「解雇規制の緩和」や「最低賃金制の廃止・市場任せ」をうちだすなどデタラメな〝政策〟をうちだしました。

 ② 12月16日投票の総選挙の結果いかんにかかわらず、今後の対決点は、財界・アメリカの言いなりを続け、憲法を改悪・戦争への道、アジアと敵対する国づくりを許すのか、それとも日米安保条約を廃棄して労働者・国民のくらしを守る政治、アジア諸国との友好関係を築くのかが問われることになります。

 

 

Ⅱ 2013国民春闘の課題とたたかいの具体的展開

 

1.賃金闘争前進のために組織拡大・強化を位置づける

 

 ① 「仲間増やし」こそ賃金闘争の基礎です。圧倒的多くの未組織労働者は、労働基本権や労働基準法、労働契約のルールを知らずに、不当な権利侵害を受けています。「賃金は職場内外の力関係で規定される」という立場からすれば、賃金闘争を前進させるうえでも、より多くの仲間を迎え入れる組織拡大が前提となります。

 ② 愛労連は秋の組織拡大月間の成功とともに、中期的な展望をもった計画をそれぞれの単産が確立することを提起しています。2013国民春闘では要求実現と組織の拡大を結合してすべての単組・地域が奮闘することとします。

 ③ 春闘時期も、中立組合、業界団体への訪問や「公開講座」(労働法制、賃金論など)を計画します。

 

2.すべての労働組合が要求書を提出、非正規労働者の要求実現に全力

 

(1)賃金闘争をすすめるうえでの基本的スタンス

 

 ① アンケートや対話をかさね、組合員はもちろん未加入労働者および非正規労働者の要求も積極的に組織していくこととします。

 ② 要求を高くかかげねばり強く追求し、あきらめず要求実現をめざしていく姿勢をつらぬきます。統一闘争への結集を基本に産別交渉・集団交渉のほか、地域からの積極的な支援を強化していきます。

③ 労働者の賃金が年間30~80万円も減少しています。このことが消費を萎縮させ、経済を停滞させています。賃金引き上げのたたかいは経済の活性化、内需主導型経済への転換をすすめるという大義あるたたかいです。賃金の低下はまた、貧困と格差の拡大の最大の原因であることから、すべての労働者の賃上げが重要であることを強く打ち出すたたかいが求められています。

 

(2)賃金要求の基本

 

 ① 賃金要求の基本は「生計費」(2010年調査)とします。愛知は、「25歳単身者で年収267万8760円、時間額1285円」を最低限にした賃金水準の確保=「生活保障賃金」をかかげて要求を組みたてていきます。この要求は当然「8時間働いて得られる賃金」ということです。

② 均等待遇原則をつらぬきます。性や雇用形態の違いにかかわらず、すべての労働者に生計費原則を堅持してたたかいます。企業内最低賃金の確立をすすめます。

 ③ 賃金は労使が対等の立場で決定するという姿勢をつらぬきます。一方的な決定を許さない、不利益変更はさせないたたかいを重視します。

 ④ この立場からすべての労働者の賃金を、少なくとも今春闘では、全労連統一要求(月額1万円以上)の引き上げをめざします。また時給労働者の時間額を100円以上引き上げることを最低でも獲得するためにすべての単産・単組・支部・分会が奮闘します。

 

(3)賃金にかかわる諸要求の課題

 

① 公務員賃金引き下げ法の廃止、退職手当削減に反対するたたかいをすすめます。公務員賃金削減は、地方公務員や関連労働者、民間労働者の賃下げにも直結するものです。賃下げ法撤回をめざす裁判闘争を積極的に支援していきます。

② パート・非正規労働者の実態を把握する調査(組織アンケート)を実施し、非正規労働者の賃金水準・労働条件の実態と要求を把握し改善をかちとります。

 ③ 2013年4月から厚生年金の支給開始年齢が引き上げられます。定年年齢と年金支給開始年齢がかい離していくことで定年後、無収入期間が発生します。支給開始年齢の引き上げそのものに問題があるものの、当面、再雇用(再任用)などで収入を保障していく方向で要求していきます。その場合の基本は希望者全員の再雇用、この場合でも生計費原則をつらぬく賃金を要求していきます。

④ 現役労働者が正規労働者であっても、その子どもは非正規労働者という場合が多く、独立して生計がたてられない状況がひろがっています。そればかりか、学生の場合奨学金返済が大きな負担になり、3か月滞納した場合全額返済しなければならないなど、親の家計を圧迫しています。こうした点からも要求討議をすすめていきます。

 

(4)回答指定日、全国統一行動における決起集会の開催

 

① すべての単組・支部が要求書の提出にむけて奮闘するとともに、回答指定日を3月13日とします。

② 集中回答日の翌日(3月14日・木)に、ストライキ、職場集会やその支援行動にとりくむとともに「雇用確保・賃金改善・消費税反対」などの春闘要求課題をかかげた宣伝・集会・デモを未加盟組合などにもよびかけ、地域のとりくみとして具体化します。

③ 愛労連・愛知春闘共闘として、3月14日(木)の夜、名古屋市内で「春闘要求実現をめざす全県労働者決起集会」を開催します。

 

3.最低賃金・公契約運動を推進する

 

① 低賃金化に対する歯止めとして最低賃金引き上げは重要です。要求は、全国一律最低賃金制の確立、地域最低賃金について当面時給1000円以上への引き上げを基本とします。

② 第1段階(2月~5月)で中央最低賃金審議会に対する署名を軸に、全労連が提起する積極的な行動に参加していきます。第2段階(5~7月)で愛知地方最低賃金審議会に対するたたかいを展開します。生活体験を2月に実施します。そのためスタート集会を2月1日におこないます。

③ 最低賃金問題はどれだけ職場で議論し、地域でひろげられるかが運動を左右します。また最低賃金の〝低さ〟をアピールするために、県内中心の「著名人アピール」(仮題)などにとりくみます。

④ 公契約条例制定運動は5月の自治体キャラバンをはさんで、自治体に要請し続けます。愛知県は11月に「公契約のあり方研究チーム」が「中間報告」を発表しましたが、これに対して意見を表明するとともに、早期に条例化をもとめ、自治体に拡大していきます。公契約は労働者の賃金の確保とともに、地域の事業者の仕事おこしのとりくみであることをひろげるために、関係団体にもよびかけ、懇談会を再開します。この懇談会として県要請や名古屋市要請、各自治体への要請行動をすすめます。

⑤ 指定管理者制度や市場化テストは依然として続いています。戸籍の管理や発行など窓口業務の民営化などもひろがっています。公務・公共サービスの質の維持・向上とそこに働く労働者の待遇改善とあわせて追求していきます。

 

4.「解雇自由化」反対、労働法制の規制強化を求めるたたかい

 

 ① 「改正」労働契約法が2013年4月から施行されます。この法律は有期雇用の期間がこれまでの3年から5年になり、ますます労働者の解雇・使い捨てが拡大すると懸念がひろがっています。すでにこの法律を先取りするように期間を限定する雇用契約の〝見直し〟などの相談がよせられています。

 ② 民主党政権のもとで労働者派遣法はまったく骨抜きにされました[5]。むしろ日雇い派遣の場合、脱法的な例外規定が設けられ、細切れ雇用を合法化しました。労働法制の規制強化にむけて労働法制愛知連絡会や中央連絡会などが提起する行動や学習会に参加していきます。

 ③ 旧社会保険庁による不当解雇を許さないたたかいを支援していきます。JALをはじめ電気リストラなど大量解雇が強行され、解雇自由につながる危険性があり、これらのたたかいを積極的に支援していくとともに、大量リストラに反対するたたかいを強化します。

④ 非正規雇用のうち、個人事業主扱いにした雇用が増えています。個人事業主である場合、労基法上の労働者とならず、保護対象にはなりません。しかしこうした〝個人契約〟であっても労組法上の労働者であることが認められれば、団結権は保障されることになり、積極的な組織拡大とあわせた要求実現のとりくみをひろげていくことが可能になります。

⑤ 労働法制愛知連絡会、自由法曹団、争議団などとともに協議をおこない、権利討論集会の計画をすすめます。

 

5.長時間・過密労働反対、労災職業病をなくす

 

 ① 長時間労働が蔓延しています。サービス残業があたりまえとしてタイムカード打刻後に仕事を強要する企業もあります。また、大企業では36協定における年間時間が1000時間をこえる企業もあります。労働時間短縮と賃金引き上げを結合してとりくみをすすめます。ただし、この場合低賃金と長時間労働の関係もあり、要求の組織化にはねばり強い討議が必要です。

 ② 過密労働も深刻化しています。過大なノルマを科せられ、とくに若年労働者は「自己責任論」から脱却できないまま精神的に追い込まれ、早期退職や精神疾患に罹災する労働者が多くなっています。ディーセントワーク(まともな働き方)の実現にむけたとりくみを強めます。就職問題は依然として深刻です。就職連絡会などとともに、就職問題の解決にむけて企業や行政への要請行動を強化します。

 ③ 過労死防止基本法の制定をめざす署名が100万筆目標で提起されています。このとりくみを成功させるために奮闘します。

④ 労働安全衛生活動の強化のために、対策委員会の活動を強化します。

 

6.大企業の横暴とたたかう・トヨタ総行動、地域総行動などのとりくみ

 

(1)大企業の横暴とたたかう

 

 ① 第34回トヨタ総行動を下記の日程・内容で実施します。

   日時  2013年2月11日(休日) 

   場所  豊田市山之手公園を予定(集会)

   内容  早朝宣伝、集会、デモ行進など

② トヨタをはじめ大企業の内部留保を還元させるたたかいをすすめます。研究者や中小企業団体などとも協力し、大企業の社会的責任を追及するとりくみを具体化します。

③ 電気産業の13万人リストラに反対し、地域経済と雇用を守る運動を展開します。

 ④ 詳細は1月12日(土)に開催する単産・地域労連代表者会議で確定します。

  日時  2013年1月12日(土)10:00~

  場所  国際会議場会議室

  内容  トヨタ総行動ほか、最低賃金のとりくみ、地域総行動の具体化について提起

 ⑤ これに先だち、春闘・大企業の社会的責任追及の一環として下記日程で新春大宣伝行動をおこないます。

<名古屋駅ミッドランド前>              日時  2013年1月7日(月)8:00~

<JR刈谷駅前>                                        日時  2013年1月14日(月・祝)7:30~

 

(2)春闘の諸行動を成功させるために新春大学習会を開催する

 

  日時  1月12日(土)13:30~

  場所  国際会議場

  講師  ① 愛敬浩二・名古屋大学教授 憲法問題を中心に

      ② 蓑輪明子・一橋大学特任講師 貧困・労働をテーマに

 

(3)地域総行動を以下の日程でたたかう

 

 ① 日時  2月20日(水)

 ② 早朝宣伝、昼の行動配置、夜の学習交流集会・決起集会など(単産・地域労連代表者会議で提起)。

 ③ ねらいは、賃金引き上げの大義、消費税増税の中止を訴えます。また社会保障解体を許さないなどの課題で世論を大きくしていく運動を展開します。中立組合、中小企業(業界団体)訪問や行政への要請行動などにとりくみます。

 

(4)全労連東海北陸ブロックのとりくみ

 

 12月8~9日に予定していたブロックの総会を下記の日程と内容に変更します。

 全労連東海北陸ブロック総会・2013国民春闘討論集会

  日時  2013年2月2(土)13:30~3日(日)12:00

  場所  レイクサイド美浜(静岡県浜松市)

 

7.憲法改悪阻止、脱原発、消費税増税・社会保障改悪阻止、TPP参加反対などのたたかい

 

(1)憲法改悪反対・9条守れ、基地撤去・日米安保破棄をめざす

 

① 憲法9条改悪を守り、集団的自衛権の行使を許さないたたかいを強化します。自衛隊を「国防軍」にすることや改憲手続きの簡素化として憲法96条の改定を許さないたたかいをすすめます。

② 日米安保は「日本防衛」とはまったく無関係であり、アメリカのアジア戦略そのものです。沖縄への負担、基地費用の国民の負担など、安保条約は〝百害あって一利なし〟です。安保破棄の世論を大きくしていくために奮闘します。

③ オスプレイの普天間基地への配備強行をはじめ本土における低空飛行訓練に反対するたたかいを強化します。「オスプレイ配備・低空飛行訓練反対新署名」と沖縄高江ヘリパット建設反対のたたかいを支援するカンパ活動にとりくみます。

④ 勤労者通信大学「憲法コース」の受講をひろげるとともに、愛労連独自で「憲法講座」(仮称)を開催します。憲法一般でなく、「憲法と社会保障」「憲法と労働基本権」など、テーマを決めて2か月に1回程度実施します。

⑤ 全労連が提起する憲法記念日(5月3日・金)を起点にした「憲法がいきる日本署名(仮称)」に積極的にとりくみます。

 

(2)消費税増税を阻止、社会保障解体を許さないたたかい

 

 ① 消費税は2014年に8%、15年には10%への引き上げになります。しかしこれを阻止させるために、引き続き運動がもりあがっています。増税反対・中止を求めるたたかいとともに、富裕層への課税強化などを訴えていきます。

 ② 年金の引き下げや医療・介護における負担増、「子ども子育て新システム」をはじめ、社会保障の解体を許さないたたかいを強化します。

 ③ 生活保護バッシングがつよめられ、その引き下げ攻撃が強まるなか、貧困をなくす運動などと結合してとりくみを強めます。

 ④ 愛知県の福祉医療制度を守るために、社保協などとともに県への要請をつよめ、撤回をめざします。名古屋市の国保料引き下げをはじめ自治体における福祉制度を守るたたかいをつよめます。

 ⑤ 下記の日程で第14回あいち社会保障学校を開催します。

   日時  2013年2月3日(日)10:00~16:00

   場所  労働会館東館ホール

   講師  唐鎌直義・立命館大学教授

 ⑥ 3.13重税反対統一行動を県内各地でとりくみます。

 

(3)復興支援、脱原発のたたかい、TPP参加反対のたたかいを強化する

 

 ① 大飯原発の再稼働、大間原発建設、核燃料サイクル事業の推進など、民主党政権は国民の願いをふみにじりました。労働者と市民の連帯した運動は大きなひろがりをみせています。春闘では、「原発即時ゼロ」をかかげ、広はんな市民と連帯してたたかいます。大飯原発の停止・廃炉、浜岡原発廃炉をめざす運動は東海北陸ブロック段階でのよびかけに対しても積極的に参加していくこととします。

 ② 11.11名古屋デモの成功を機に、毎週金曜日の関電東海支社前宣伝をはじめ宣伝・署名行動の強化、市民レベルの運動にも積極的に参加していきます。

 ③ 東日本大震災2周年として「3.11集会」を3月3日(日)に実施し、当日は幅広い層を結集した集会となるよう関係団体と協議を継続します。復興支援のとりくみを強めます。

 ④ TPP参加は、日本の社会のしくみそのものを破壊する〝自由貿易協定〟であることを徹底的にひろげ、宣伝活動を強化します。現在月1回、愛知食農健の宣伝に愛労連役員も参加していますが、地域でも宣伝行動や地元議員要請などの行動を具体化します。

 ⑤ 食糧主権確立をめざし、食農健や農民連をはじめ消費者団体などとも共同をひろげます。

 

(4)中小企業団体との共同、地域経済の活性化をめざす運動

 

 ① 民間部会の中小企業家同友会との懇談をさらにかさねていき、地域経済問題、最低賃金問題など共通の認識をかちとり、共同のとりくみをひろげていきます。

 ② 地域経済活性化にむけて、この間とりくんできた中小企業実態調査活動などを活かし、自然エネルギーへの転換など積極的な政策提起、関係団体との共同をひろげます。

 ③ 国・自治体に対して、公的就労のための「仕事おこし」を求めていきます。

 ④ 10月16日、愛知県は中小企業振興条例を制定しました。また名古屋市が2013年2月、知立・安城・高浜などで制定、また制定にむけて準備がすすんでいます。こうした「条例」を積極的に活用し、中小企業団体、業界団体との懇談をすすめていきます。

 

8.組織拡大・強化のたたかい

 

 ① 春の組織拡大月間を3~5月に設定します。新規採用者の組織化をはじめ、職場未組織、非正規の組織化に最大限奮闘します。とりくみの具体化は、年明け後の組織拡大推進委員会と幹事会でおこないます。

 ② 愛労連「特別セミナー」の開催について、2013年5月をメドに実施します。この「特別セミナー」は、次代を担う役員の育成を明確にしたもので、単産や地域からのすいせんをもとに参加者をつのり、継続的なとりくみとしていきます。

 ③ 勤労者通信大学の受講をひろげます。勤通大は2013年4月開講で、あらたに「憲法コース」が設けられ、「基礎コース」「労働組合コース」とあわせてとりくみます。「憲法コース」については、愛労連が単産と協議しつつ「憲法と労働基本権・団結権」「憲法と社会保障」など、「憲法とくらし」にかかわるテーマごとに学習協の協力も得ながら「勤通大スクーリング」を計画します。

④ 愛労連セミナーを2013年春頃に、尾北地域での実施にむけて当該地域労連と協議します。

⑤ 6月に毎年開催していた「地域運動交流集会(地域労連研究集会)」を5月中に開催します。

⑥ 2013年11月16日(土)~17日(日)に愛知で「第58回はたらく女性の中央集会」が開催されます。この成功にむけて、女性協として春の段階で交流の場をもうけることとします。東海北陸ブロックの女性交流会は5月18日(土)~19日(日):石川県でおこないます。

 

<全労連・春闘全体の流れ>

 

【2月】

 ① 職場での要求確立、闘争体制の確立をはかる。

 トヨタ総行動(2月11日)。自治体、中小企業訪問、宣伝行動などに単産、地方組織が総がかりでとりくむ「地域総行動」を愛知は2月20日に展開する。

 ② 国会での予算審議が開始されることから、国民要求、制度課題の前進をめざして中央行動にとりくむ。2月8日(金)に中央行動を配置し、共同のとりくみとして成功をめざす。

 

【3月】

 ① 集中回答日を設け、その翌日にストライキなどの実力行使体制を構えて回答を迫る交渉を強化する。「3.11」大震災からの復興、確定申告闘争とも結合した「消費税増税中止」など、労働者、国民の「くらしを守る要求」の一致点にもとづく共同行動を具体化し、「目に見え音が聞こえる春闘」状況を職場と地域の双方でつくりだす。愛知は3月3日(日)に「明日につながる集会」を開催。

② 春闘要求への回答、早期決着を迫る行動を継続する。3月5日(火)に中央行動を配置し、集中回答日に向けたたたかいを意思統一する。集中回答日は例年通り3月第3週の水曜日(13日)を軸に論議を進める。集中回答日の翌日(3月14日・木)に、ストライキ、職場集会やその支援行動にとりくむとともに、「雇用確保、賃金改善、消費税反対」などの春闘要求課題をかかげた宣伝・集会・デモを未加盟組合などにも呼びかけ地域の取り組みとして具体化し、集中させる。

③ 3月13日(水)の具体化が検討されている「重税反対全国統一行動」と連携した「消費税中止、生活守れ」の行動を国民的なとりくみとしての具体化をよびかけ、両日あわせて全国で「50万人規模」の行動として成功をめざす。

 

【4月】

 統一行動も配置し、春闘要求への回答引き出し、回答積み上げ、早期決着をめざす。

  国民要求、労働法制関連など制度課題での要求前進をめざした国会行動などにとりくむ。回答引き出し、追い上げの集中日を4月中旬に設定し、力の集中をはかる。制度課題での中央行動(署名集約と国会要請)を第2週を軸に調整をすすめる。4月1か月間を消費税増税中止集中行動月間とし、宣伝、要請、署名御行動などを全組織が具体化する。

 

【5月】

 メーデーを成功させるとともに、憲法記念日(5月3日・金)を起点にした「憲法がいきる日本署名(仮称)」をスタートさせる。下旬に中央行動を配置し、国会終盤のとりくみ(署名提出、議員要請行動)をおこなう。夏季闘争をスタートさせる。5月中旬に春の自治体キャラバンを実施する。

 

[1] アメリカ軍の内部文書(米国防省分析研究所試験・評価部長による)でも明らかに。①オスプレイにはオートローテーション(自動回転装置)機能の安全装置がない。②ヘリが下降するとき、ローターの先端に渦巻き状の気流が発生し、それが機体を押し下げる(ボルティック・リング状態)が、オスプレイは左右のローターに不均一に渦巻き気流が発生するため、通常のヘリに比べて制御不能に陥りやすい。③通常のヘリと比べてPIO(パイロットの動作に起因する振動)が発生しやすい。・左右にローターがあるという構造上、油圧・電機・機械系統が長く複雑になり、不具合が生じやすい。④渦巻きなどにより、他の航空機と近接飛行していると制御不能になる。フロリダの事故はこれによる。後方乱気流に巻き込まれ、制御不能に。⑤着陸時、はげしい吹き下ろしが発生し、周囲のものを吹き飛ばす。

[2] ① 94年10月14日、厚木から飛行した米空母艦載機A-6攻撃機が高知県北東部の早明浦ダムの湖面に墜落してパイロット2人が死亡する事故が発生。地上150㍍の低空を時速800㌔㍍で飛行中、ほぼ直角に急旋回。限度を超すG(重力加速度)がパイロットに加わったことで失神、そのまま湖水につっこんだ。

 ② 11年3月、岡山県津山市の上空を米軍機が低空飛行し、農家の土蔵が倒壊する事故がおきた。牛も早期流産した。崩壊した土蔵との高度差はわずか30㍍。日本の航空法では離陸時をのぞいて150㍍以上、人口密集地では300㍍以上を「最低安全高度」としているが、地位協定にもとづき、日本の航空法は適用されない。

 

[3] 集団的自衛権の行使とは、日本が外国から侵略や攻撃を受けたときの「自衛」の話ではなく、軍事同盟を結んでいる相手の国が戦争をする時に共同で戦争行為に参加すること。憲法九条は「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と規定。そのため政府も、集団的自衛権の行使は憲法上許されないとのべてきた。1999年、小渕内閣の時、憲法の戦争放棄の規定をふみにじって、アメリカの軍事介入に自衛隊を参加させるガイドライン法=戦争法がつくられた。しかし同法も憲法九条があるため、自衛隊の活動は「後方地域支援」に限るとされている。この制約を取り払い、自衛隊が海外で米軍と共同で武力行使ができるようにしたいというのが、いまの集団的自衛権論のねらいであり、この議論は、九条の明文改憲論と一体のものとして出されている(「しんぶん赤旗」01年5月17日)。

[4] ◆現行憲法  第9条の2 前項(戦争放棄)の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。

◆自民党「憲法改正草案」 第9条の2 前項の規定は自衛権の発動を妨げるものではない。…内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。

[5]①<日雇い派遣の「原則禁止」> 政府案では「2か月以内の期間を定めて雇用する労働者派遣は禁止」となっていたが、民自公3党による「修正」で「30日内」と期間が短くされ、さらに例外だらけになった(政令で定める18業務)。<登録型派遣、製造業派遣、特定労働者派遣事業の在り方>引き続き「検討事項」に。<労働契約申込規定>違法派遣の場合の派遣先の労働契約申込みなし規定を創設。しかし、その施行は3年も先送りした。<無期雇用への転換> 雇用期間通算1年以上の有期雇用派遣労働者の無期雇用への転換が「努力義務化」とされた。また、「派遣先労働者の賃金との『均衡』を考慮」という規定がなされたが、「努力義務」や「均衡の考慮」では強制力はなく、実効性に乏しい。

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