労働者の賃上げと下請中小企業の経営を守り、地域経済の発展のため、トヨタおよび関連企業の「社会的責任」を求める要請書

2013年2月6日

トヨタ自動車株式会社
取締役社長  豊田 章男 様

第34回トヨタ総行動実行委員会
実行委員長   榑松 佐一
連絡先:愛知県労働組合総連合

 

貴職におかれましては、自動車産業の健全な発展にご尽力されていることと存じます。

さて、労働者の雇用の状況はますます深刻になっています。とくに高校生や大学生の就職難はおおきな社会問題になっています。また1997年以降、労働者の賃金も減少し続け、国際的にみても〝日本だけが賃下げ〟になっています。

昨年末の総選挙で自公政権が復活しました。安倍首相は「アベノミクス」でデフレ脱却を主張しています。昨年11月、日銀の白川総裁は都内の講演で「デフレ脱却には賃上げが有効」であるとの発言をおこない、さらに財界シンクタンクからも「賃上げ・最低賃金引き上げこそ切り札」であるとのべています。ILO(国際労働機関)も、とりわけ日本の若者の非正規雇用・低賃金に警鐘をならしています。国民のなかに格差と貧困が拡大する一方で、資本金10億円以上の大企業は267兆円を超える内部留保をためこんでいます。

貴職の発展を支えてきたのは労働者・下請企業と地域です。「円高協力」分の単価切り下げを撤回したことは評価できるものの、これらをかえりみず海外生産の強化を一方的にすすめることは、「企業の社会的責任」に反するものといわなければなりません。

私たちは、このような立場から、大企業、とくに愛知県や日本全国にも大きな影響力をもつ、貴職が社会的な役割を発揮されるよう、以下の点について要請するものです。

 

 

  1. すべての労働者に残業がなくても生活できる賃金を保障すること。とくに若者にまともな雇用と賃金を保障することは「未来への投資」(ILO)になるという立場から、非正規労働者の正規化をすすめ、雇用の安定を図ること。
  2. 長時間労働をなくすとともに、不払い残業を労働基準法に則り、一掃すること。
  3. 中小下請企業への下請単価の削減をやめ、下請二法をはじめとする法律を遵守すること。
  4. 自動車排ガス公害をなくし、被害者のための新たな救済制度設立のために積極的な役割を果たすこと。
  5. 地域経済・地域社会の発展のため、貴職として積極的な施策を講ずること。

上記、項目の実現のため、内部留保の一部を取り崩すなどの対応をすすめ、貴職が社会的役割を発揮することを要請します。

以上

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