【声明】最低賃金額を926円(28円引き上げ)とする、愛知地方最低賃金審議会「答申」に対する声明

2019年8月7日
愛知県労働組合総連合幹事会

 愛知地方最低賃金審議会(以下、「最賃審議会」と称する)は8月5日、愛知県の最低賃金を10月1日から1時間926円(28円引き上げ)にするという愛知労働局長あての答申をし、同日、労働局は、この答申内容に対する「異議申出書」を8月20日まで受け付けるという公示を行った。愛労連は、多くの単産・単組及び地域組織が「異議申出書」の提出をすることを呼びかける。

 時給926円で計算しても1カ月あたり162,976円(926円×8時間×22日)で、ここから税金・保険料等を引けば、1カ月に使える金額は約13万円。2月~3月に実施した898円での最賃生活体験の127,873円と比較しても、増額は月額5,000円弱(28円×8時間×22日)であり、人間らしい生活ができる額ではない。私たちが要求した「いますぐ1,000円、めざせ1,500円」からほど遠い額である。

 内閣府が8月6日公表した6月分の景気動向指数によると、景気の現状を示す一致指数が前月より3.0%低い100.4となった。下落幅は前回の消費増税があった14年4月分に次ぐ大きさで景気後退局面が明らかになった。実質賃金がマイナスのなかで消費増税が行われれば日本経済に与える影響は極めて大きい。最賃の引き上げは、ただちに消費に結びつくものであり、大幅な改善が必要である。

 愛知労働局によると、明確に賃金アップの影響を受けるのは、現在県内926円未満で働いている労働者14.1%という。これを上回る多くの労働者の賃金が改善されることを期待する。私たちの要求は、全国一律最賃制の実現だが、世界のトヨタがある愛知で、東京や神奈川などとの大きな格差が生じているのは問題である。少なくとも目安を上回る額が必要である。また、先の参議院選挙でも主要政党のほとんどが1,000円、1,500円を公約に掲げ争点になったが、その世論が反映されていない。

 愛知では、意見陳述が実施されていないのも問題である。ここ最近でも34道府県(現時点の把握)の最賃審議会で意見陳述が行われている。8月2日の最賃審議会では、労働局から愛労連等の意見書について、概略の説明があったものの、労働者代表からは「1,000円の要求は我々と同じ」、使用者代表からは「事前に意見書を読んでいるのでその必要はない」と発言があり、委員長が「意見陳述の必要がない」とまとめた。この日の審議会は、30分弱であり、最賃生活体験をした当時者から直接意見を聞くことは、十分可能である。今後もこうした形式的な審議会が行われるならば、愛労連として税金の使い方も含め、この問題を広く明らかにせざるを得ない。

また、専門部会が非公開で行われていることも重大である。県民に開かれた審議会、専門部会を求めるものである。最賃審議会委員の労働者代表を連合に独占させ、意見陳述もさせない労働局当局と最賃審議会に強く抗議する。

 愛労連は、最賃審議会委員の不当任命への異議申立書提出から、「1,500円をめざし、直ちに1,000円以上へ引き上げ、中小企業支援を求める要請署名」の提出(個人署名8341筆、団体署名135筆)、「意見の申し出」(7/16)、最賃生活体験のとりくみと「収支決算状況」の提出(76人)、また7月3日(名駅)、8月1日(金山)、8月2日(三の丸)の街頭宣伝行動、7月29日には記者会見も行い、大幅改善に向け広く世論に訴えてきた。6月には参議院愛知選挙区予定候補者への要請、愛知労働局への要請(6月24日:全労連東海北陸地方協議会)も行った。一連のとりくみを随時最賃ニュースとして組合員に知らせてきた。

 愛労連は、今後も、要求実現に向けて粘り強く奮闘する決意である。

以上

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