労働者に頼りにされる労働委員会を再生するため
第47期愛知県労働委員会委員の公明正大な任命を求める要請

愛知県知事 大村秀章 様

愛知県労働組合総連合
愛知国民春闘共闘委員会
議長 西尾美沙子
名古屋ふれあいユニオン
運営委員長 鶴丸周一郎

 貴職におかれましては、日頃より労働者の権利とくらしの向上のためご尽力されていることに敬意を表します。

 第46期愛知県労働委員会(以下、愛労委)の委員は11月30日をもって任期満了を迎え、知事は第47期委員を選任します。

 愛知県では1989年の労働戦線再編以来、17期34年にわたって非連合系の推薦者をいっさい排除し続けてきました。この不当任命を争った訴訟で、1999年5月の名古屋地裁判決は、「労働組合運動において運動方針を異とする潮流・系統が存在する以上、労働者委員構成においても多様性を有することが望ましい」「すみやかに系統を反映した選任にすべき」と知事に是正を求めました。全国ではこの判決がいかされ、中労委と11都道府県(北海道・宮城・長野・東京・埼玉・千葉・神奈川・京都・大阪・和歌山・高知)で非連合の委員が選任されています。それは、組織の大小にとらわれず、幅広い系統から選任をするという知事としての民主的な判断によるものです。

 大村知事は就任から12年経ちますが、公平中立さを欠く任命を一向に改めず、愛労委は労働者・労働組合の救済機関としての機能を損なっていると指摘せざるを得ません。

1.前代未聞、信頼を失墜させた労働委員会による不当労働行為への関与

(1)2022年春、南医療生活協同組合(以下、生協)が南医療生協労働組合(以下、労組)に関する「南医療生協労働組合ガイダンスのご案内」(以下、「ご案内」)なる文書を配付し、そこには「(ガイダンスに)参加されない場合、その時間は別の場所で休憩をお願いします」として、ガイダンスヘの参加意思の有無を明らかにさせる目的を持った不当な指示とともに、「労働組合へ加入するかしないかは自己責任」として、新入職員の労組への加入を抑制し、労組の弱体化を狙った不当労働行為が行われました。
 これに対して労組は、直ちに生協に対して抗議し団交で追及しましたが、組合が申し立てた事件の和解協議途中に愛労委の助言に基づいて作成・配付したものであり問題ないと開き直り、謝罪に応じませんでした。「ご案内」の作成に関わる愛労委の関与が明らかになったため、愛労委に対して、事実確認を行ったところ、愛労委も会長名の文書でこれを認めました。不当労働行為から労働者を救済する機関が不当労働行為に関与するまさに前代未聞の事態です。

(2)不当労働行為文書作成に関与する経過は、2021年11月26日に実施された第5回和解協議期日において、生協側からガイダンスに先立ち配付する「ご案内」の原案が使用者側参与委員を通じて示され、それに対し審査委員および両参与委員が関わって「労働組合へ加入するかしないかは自己責任」との文言に修正するよう意見されたことが7月29日付け会長名での文書で明らかにされています。生協作成の原案では「本案内は、南医療生協労働組合への加入をお勧めする趣旨ではありません」との文言であったことも明らかになっており、それが不当であることは論じるまでもありません。
 さらに、同会長名の文書によれば、「ご案内」作成への関与は「労働委員会としての正式な回答ではなく、委員の個人的なアドバイス」とされましが、和解協議が進められている最中に審査委員および両参与委員が関与して私見にもとづく個人的なアドバイスをするとは、審査機関としての役割や職権を逸脱したものだと厳しく糾弾されるべきものです。

2.知事の任命責任は重大であり、役割果たせる委員の選任が必要

(1)そもそも労働組合への加入は憲法28条に定められた権利であって、「自己責任」ではありません。労働委員会は、憲法に定められた労働者の団結権を擁護し、使用者による不当労働行為から労働者・労働組合を救済する役割を持っています。しかし今回の事態は、「ご案内」の不当労働行為性に誰一人気がつかず、不当労働行為に関与する異常な事態となりました。こうした労働委員会委員としての能力を欠く委員を任命した知事の責任は重大です。

(2)これまで私たちは、愛労委委員の選任にあたっては、労働法の専門家である労働法学者の必要性などを指摘してきました。また、労働者委員は労資協調を旗印とする連合に所属する委員ばかりで団体交渉拒否や労働組合つぶしと闘った経験はなく、不当労働行為に苦しむ労働者や労働組合が頼りにできない委員ばかりだと、その言動・行動から受け止めざるを得ないことも指摘してきました。労働者委員は、使用者による不当労働行為にさらされる労働者・労働組合の苦しみや悲しみ、怒りに寄り添い、事件の解決に参与できる者でなければなりません。

3)労働委員会は、「簡易迅速に判断する」機関であり、不当労働行為が疑わしいものについては、積極的に判断して早急に救済命令を出すのが本来の姿です。ところが、不当労働行為を認定すべき愛労委が認定せず、中労委や裁判所で認定されることが増えています。愛労委が不当労働行為を認定せず、裁判所や中労委によって認定された第一交通事件では、「愛労委は労働者側の主張について、ほとんど判断していない」と中労委委員や事務局からも批判されていました。
 こうした背景にも、労働法学者が一人もいないことがあります。現在の公益委員には労働法に対する見識を有する委員がいないため、事務局が労働法や調査の進め方について助言していくことになります。しかし、事務局は書面でしか労働法を学んでいないため、誤った理解をしていると思われる場面もありました。
 第47期の選任にあたっては、不当労働行為に対する見識を有する公益委員と不当労働行為とたたかってきた豊かな経験を持つ労働者委員が必要であり、知事は労働委員会を再生できる選任をしなければなりません。

3.ジェンダー平等実現と労働者の実態に即した労働者委員の選任を

(1)いま、労働分野でも強くジェンダー平等の実現と男女共同参画が求められており、私たちは労働者委員の女性比率を高める必要性を再三指摘してきました。それにもかかわらず愛労委労働者委員には女性が7人中1人しか選任されておらず、機会を逃さず少なくとも3人の女性委員を選任すべきです。

(2)非正規雇用労働者が増加し、労働者全体に占める割合は4割近くとなっていますが、現在の労働者委員に非正規雇用労働者は1人もおらず労働者の雇用実態から見れば極めて異常であり、直ちに改善が必要です。

(3)コロナ禍のもとで、医療・介護・福祉・保育など、ケア労働の大切さが認識されるとともに、現場の懸命な奮闘によって多くの県民のいのちと暮らしが守り支えられてきました。
 愛知県の就業状況(労働力調査地方集計結果2022年平均)によれば、産業別人口で「医療・福祉」は「製造業」「卸売業、小売業」に次ぐ規模であり、この5年間でもっとも増加している分野であり労働者構成に即した任命が必要です。
 つきましては、第47期愛労委委員の選任にあたり、知事が以下のことを踏まえて公明正大な任命を行い、県内の労働者・労働組合から頼りにされる愛労委に再生されるよう要請します。

1.公益委員に労働法の専門家である労働法学者や労働法に詳しい弁護士を選任すること。

2.公労使すべての委員ごとに女性を4割以上(3人以上)選任すること。

3.労働者委員について公平中立な選任をし、非連合の委員を選任すること。

4.労働者構成に合わせた労働者委員の選任を行うこと。

(1)非正規労働者の委員を選任すること。
(2)医療・福祉分野の委員を選任すること。

カテゴリー:
キーワード: