若者の愛知県から東京圏への転出超過問題を克服し、誰もが安心して働き暮らせる愛知にするため、県知事が最低賃金引き上げに積極的な役割を果たすことを求める要請

愛知県知事
大村 秀章 様

愛知県労働組合総連合(愛労連)
議長 西尾 美沙子

貴職が愛知県民の暮らしと福祉向上のためにご尽力いただいていることに敬意を表します。

大村知事は県のホームページのなかで「愛知の経済・産業力を更に強くし、若者・女性・高齢者・障害者の雇用・活躍につなげていくことで、人づくりが進み、地域が元気になるという、この好循環を更に前進させ、日本一元気な愛知をつくり、日本の未来をつくってまいります」と述べられています。

私たちは、地域を元気にする前提条件として、安心して働ける労働環境が重要だと考えています。そのためには、下記に述べるように、県内で働く労働者の最低賃金を東京圏と同等の賃金に引き上げることが必要だと考えます。そこで、愛知労働局や愛知地方最低賃金審議会に対して最低賃金引き上げの要請を行っていだだくなど、県民生活に責任を持つ知事として積極的な役割を果たされるよう申し入れます。

【2020年代に1500円と石破首相】 
今年1月24日、石破首相は施政方針演説で「賃上げこそが成長戦略の要」とし、「最低賃金を着実に引き上げ、2020年代に全国平均1500円という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続ける」と述べました。現在、愛知県最低賃金は1,077円ですから、1,500円にするには平均しても毎年84円余の引き上げが必要になり、今年の上げ幅が注目されます。

『あいちの就業状況』(2024年7~9月平均)によれば、県内の非正規労働者は128万人で、その多くは時間給で働いています。愛知県最低賃金の引き上げは、多くの非正規労働者の賃上げに直結します。

愛労連の調査では(2025年1月確定)、20代の単身世帯の最低生計費は月27万円で、時間給にすると1,800円(月150時間労働換算)が必要となりました。私たちは、地域別最低賃金について「今すぐ1500円、めざせ2000円」を掲げています。 

【愛知県から主に東京圏へ転出超過が続いている】
『愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略2023-2027(愛知県人口問題対策プラン:以下、「プラン」)』によれば、「2022年1月~12月の東京圏に対する20~24歳の人口移動数を男女別で見ると、男性は(中略)1,535人の転出超過、女性は(中略)2,060人の転出超過」、「転出入超過数の推移を見ると、東京圏に対しては転出超過が続いており、近年では拡大傾向」にあります。2月18日テレビ愛知は「人材流出で、モノづくり王国・愛知がピンチ」「人口流出が止まらない愛知 なぜ」と特集しました。

【東京と愛知では、年間154,800円の格差】
昨年10月改定の地域別最低賃金は、東京圏では東京1,163円、神奈川1,162円、埼玉1,078円となりました。東京と比較すると愛知は86円低く、年間1800労働時間で計算すると154,800円も格差が生じます。「プラン」では、今後の居住地を選択する上で重視する条件(複数回答)として、「給与が高く、雇用が安定していること」を「重視する」「やや重視する」が8割近くを占めており、愛知県から東京圏へ転出する背景に「賃金問題」があることは否定できません。

【他県では県知事が労働局長もしくは最賃審議会へ意見を述べている】 全国では、知事が地方最低賃金審議会や地方労働局に対し、人口流出の抑制と地域経済の持続的発展のため、地域別最低賃金の大幅な引き上げ等を要請した県が増えてきています。

昨年、徳島県最低賃金は、「目安額」50円を34円上回る84円の引き上げがなされ、「徳島ショック」と報道されました。徳島地方最低賃金審議会では、最低賃金法第25条第6項に基づく7名の意見陳述が行われ、その中で、徳島県知事は、「中央最低賃金審議会で決めた目安を基に地方の最低賃金の引上げを決めるというのは時代が違うと思うのです。地方の考え方に基づいて、地方から人口流出を防ぎ、人材をいかに確保していくか、ということに尽きると思います。(中略)賃金が安いというイメージが固定化していくと若者が間違いなく出て行ってしまいます。(中略)私は、最低1,000円を超える形で徳島県最低賃金が決まるよう強く望んでおります。」と述べました。同時に、県は、最低賃金引き上げで影響を受ける事業者への「賃上げ支援事業」11億円を含む補正予算を組み、これにより中小企業・小規模事業者に1人当たり最大50万円の一時金を助成する対応をとりました。

岩手県でも知事が文書で、岩手労働局長と岩手地方最低賃金審議会長に対して、「本県では人口の社会減が続いており、(中略)地域経済を持続的に発展させていくためには、(中略)魅力ある職場づくりの推進」と「県民一人ひとりが、必要な収入や所得が得られていると実感できる岩手の実現を図っていく必要があり、(中略)地域別最低賃金の改正に向け、十分な議論を賜りますよう」と要請しました。

「ものづくり愛知」でも、とりわけ若年労働者が転出超過する事態が続けば、愛知のものづくりと地域経済に深刻な影響を与えることはいうまでもありません。若者の県外への流出を抑制し、地域経済の持続的な発展を図るため、今年度の愛知県最低賃金改正審議に際し、多くの非正規労働者をはじめ賃金の低い労働者の生活改善に向けて、知事が積極的な役割を果たされるよう下記の申し入れを行います。

1.県知事として、最低賃金法第25条第6項に基づき、愛知地方最低賃金審議会に対し、愛知県最低賃金の大幅引き上げの意見書を提出していただきたいこと。また、愛知労働局長にも同様の要請を行っていただきたいこと。

※最低賃金法第 25 条第6項:最低賃金審議会は、審議に際し必要と認める場合においては、 関係労働者、関係使用者その他の関係者の意見をきくものとする。

 

2.愛知県最低賃金の大幅引き上げに対する激変緩和措置として、中小企業・事業所に県独自の財政支援を実施するとともに、国に対して、財政措置を行うことを求めていただきたいこと。

以上

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