愛知県知事 大村秀章 様
安保破棄・諸要求貫徹愛知県実行委員会
代表委員 西尾 美沙子
愛知県平和委員会 理事長 小島俊樹
連絡先:名古屋市東区葵1-22-26民主会館4階
TEL052-931-0070・FAX052-933-3249
貴職におかれましては、日頃から港湾施設の整備及び維持管理にご奮闘されていることに敬意を表します。
2022年に閣議決定した「安保三文書」に基づき、自衛隊や海上保安庁が港湾・空港を円滑に利用できるよう、インフラ管理者(地方公共団体等)との間で「円滑な利用に関する枠組み」を設ける「特定利用港湾」について、政府は、三河港を指定し、管轄する県は受け入れを承認しました。県内では、名古屋港と中部国際空港も候補地となっていると報道されています。
安保三文書の「国家安全保障戦略」には、「有事の際の利用」は「自衛隊のニーズに基づき、インフラの整備」が位置付けられ、あわせて「有事の際の対応も見据えた空港・港湾の利活用に関するルール作りを行う」と明記されています。政府が「武力攻撃事態が起きた場合の対応とは別の枠組み」と説明したとしても、「有事」にも対応できるインフラ整備を「平時」に押しすすめるものであることは否めず、「平時」と「有事」の境目をどう判断するのかも曖昧であり、詭弁と言わざるを得ません。そして曖昧がゆえに、国の判断のみに従わされることにならざるを得ません。
国は施設を利用する「緊急性の高い場合」の中に「存立危機事態」や「重要影響事態」が含まれると答えています。「存立危機事態」は、日本が直接攻撃を受けていなくても、日本と密接な関係にある他国(米国)が攻撃を受け、それが日本の存立を脅かす事態です。「重要影響事態」は、自衛隊が米国支援のための武力行使をおこなうときや、米国が海外で戦争を起こし、それが日本の平和と安全にとって重要な影響を与える事態です。そのように認定された場合に、戦争する米国を後方支援するときにも「特定利用港湾」を「柔軟かつ迅速」に利用することになります。
「特定利用港湾」の指定によって、平素の訓練から「有事」までシームレスに民間港湾を活用する仕組みをつくろうとするものです。平素から訓練で使い、緊急時、「有事」にいつでも軍事利用できる体制をつくることにねらいがあります。
実際に軍事利用されれば、国際法上も攻撃の対象とされてしまいます。「特定利用港湾」の指定は、住民の命と安全を守る自治体の責務に背き、住民の安全を脅かすことになります。
「特定利用空港」に指定された「南紀白浜空港」は、この10月に実施された統合・実働演習で使用され、自衛隊に加えて米軍も参加しました。これに対して和歌山県知事は「国から米軍の訓練参加は説明がなかった。防衛省から空港の使用届けが出ていない」と指摘しています。いったん自治体が指定を受け入れると、なし崩し的に自衛隊だけでなく米軍にまで使用される恐れが露呈しました。
この指定は、愛知県の空港・港湾が有事にも利用され、県民の生命財産を危機に陥れるだけでなく、米軍の軍事戦略に付き従い、戦争への危機を高める政府の行為に加担するものに他なりません。三河港は、中部地方や愛知県の「ものづくり」を支える物流の拠点であり、軍港ではありません。国の指定に同意しないよう下記の事を求めます。
記
- 愛知県・三河港の「特定利用港湾」指定同意を撤回してください。
- 愛知県として、中国をはじめとしたアジア諸国との自治体平和外交を積極的に行い、平和・友好の機運を醸成させてください。
- 国との協議内容について、情報公開を徹底し、少なくとも県民への説明がないまま同意はしないこと。関係自治体、漁港や漁業組合、物流関係者、労働組合への説明を行うよう求めてください。
以上







