トヨタ自動車株式会社
代表取締役社長 佐藤恒治 様
第47回トヨタ総行動実行委員会
実行委員長 西尾美沙子
事務局:愛知県労働組合総連合
貴社におかれましては、自動車産業の健全な発展にご尽力されていることと存じます。
近年の歴史的な物価高騰は、労働者・国民の生活を厳しくしています。一昨年・昨年の春闘では大企業を中心に5%を上回る賃上げが行われましたが、実質賃金は依然として厳しい状況が続いており、3年連続、月別では11カ月連続の前年比マイナスとなり生活を切り縮めなければならない状況が続き、労働者の生活は悪化しています。日本の平均賃金は、2024年のOECDデータ(購買力平価:PPP換算)によればG7で最低、加盟国38カ国中25位で加盟国平均を大きく下回り、年々順位を落とし国際的な競争力低下のリスクも高まっており、すべての労働者の大幅賃上げは喫緊の課題です。
政府・財界が賃上げの必要性を強調するなかで、経団連の筒井義信会長は賃上げの勢い(モメンタム)を定着させる思いで臨むと述べ、賃上げを企業の社会的責任と捉えるべきだと提言しています。また日本商工会議所の小林健会頭も、中小企業が賃上げを実現するためにはコスト増加分を取引価格に反映させる価格転嫁が必要であり、大企業にも当事者意識を持つことを求めています。
2026年1月1日からは、これまでの下請法が改正され「中小受託取引適正化法(取適法)」が施行されました。この法律は、中小受託事業者が価格交渉を適切に行い、賃上げの原資を確保するための取引条件の適正化を図ることを目的としています。公正取引委員会・中小企業庁は価格交渉義務の導入や支払条件の適正化などを進めており、価格転嫁の定着を促進しています。
貴社においても、ここ数年来、部品仕入価格の算定において労務費上昇分の組み入れや価格改定にとりくまれていることを承知し、評価・歓迎いたします。
しかしながら、愛労連傘下の組合においてトヨタ車づくりにかかわる仲間たちの賃上げ水準は、物価高騰を上回る水準には到底届いておらず、また下請企業の経営者からは発注元に対して価格転嫁を求めることが困難であるとの声が団体交渉の場でも表明されており、とりくみは依然として道半ばにあります。
中小企業庁が実施した価格交渉促進月間(2025年9月)フォローアップ調査によれば、「自動車・自動車部品」業種における労務費増に対する価格転嫁率は改善の動きがあるものの56.9%に留まっており、依然として十分な改善が進んでいるとは言えません。これは自動車産業全体がさらなるとりくみを進める必要性を示しています。
加えて、貴社の業績は、いわゆる「トランプ関税」のもとにあっても、世界販売台数が6年連続で世界一となるなど好調を維持しており、内部留保も39兆8970億円(2025年3月期決算)を積み上げ、今期の純利益は2兆9300億円を見込んでいます。
まさに今、トヨタ自動車は、業界にとどまらず日本経済をけん引するリーディングカンパニーとして、自社のみならず下請中小企業の正規・非正規雇用労働者、外国人労働者、技能実習生なども含め、ネジ1本からトヨタ車づくりに関わるすべての労働者の大幅賃上げに責任を果たすことが強く求められています。
つきましては、日本を代表する企業として社会的責任を果たされるよう、以下の項目について要請いたします。
記
- トヨタ車づくりに関わるすべての労働者に対し、物価高騰を上回る大幅賃上げおよび職場環境改善を保障するため、労務費上昇分の価格転嫁を含む抜本的な取引価格改善を行うこと。また、末端の中小受託事業者まで下請単価改善が行き渡るよう、トヨタグループ全体でとりくむこと。
- 非正規雇用労働者の正規化を進め、雇用の安定を図ること。「均等待遇・均衡待遇」「同一労働・同一賃金」の原則に基づき、賃金や処遇の格差を解消すること。
- トヨタ車づくりに関わるすべての職場において、過労死や労働災害を二度と起こさせないよう労働時間管理・安全衛生対策を徹底し、万一の災害発生時には迅速に労働基準監督署への届出・対応を行うこと。
- トヨタ車づくりに関わるすべての取引において、取適法など関連法令の遵守を徹底すること。
- 職場におけるあらゆるハラスメントを根絶し、ジェンダー平等の実現に努めること。
- ビジネスと人権に関する指導原則の「人権を尊重する企業の責任」を果たすこと。子どもたちをはじめ多くの人を殺戮し、国際法違反を繰り返すイスラエルや占領・入植に関係するイスラエル企業などとの取引による深刻な人権侵害への加担を回避すること。
- EV化などの技術開発で未来への責任を果そうとも、過去に起こしたことの免責がされるわけではなく、車の排気ガスによる大気汚染が多くのぜん息等の患者を生み出してきたことへの責任を取ること。具体的には医療費の助成制度を国とともに作ること。
以上







