【声明】鯱第一交通・地位確認等事件の最高裁の上告棄却・上告不受理決定を受けて

2021(令和3)年7月30日

第一交通労働組合
第一交通事件弁護団
第一交通をまともな会社にする会
愛知県労働組合総連合

最高裁の上告棄却・不受理決定

本年2月18日,鯱第一交通株式会社で働いていた労働者2名が、会社を相手に地位確認等を求めた裁判で、名古屋高等裁判所(民事第1部)は、2名のうち組合(第一交通労組)の書記長であった宮田さんの控訴を認め、雇用契約上の地位確認とともに未払い賃金と慰謝料の支払いを命ずる判決を言い渡した。これに会社側が上告していた事件で、最高裁第三小法廷は、上告を棄却し上告受理申立を受理しない決定をした。

組合活動を理由とした会社からの排除

本件は、会社の度重なる不当労働行為により、体調を壊して休んでいた書記長の宮田さんが、平成28年1月28日付けで休職期間満了による退職とされ、その後、組合の委員長であった成田さんも、同年3月28日付けで懲戒解雇とされたことが、いずれも不当労働行為による違法無効なものであるとして提訴していたもので、2019(令和元)年9月27日、名古屋地方裁判所は、不当労働行為を認めず、2名の請求をいずれも棄却したため、名古屋高等裁判所に控訴していた。名古屋高裁は、宮田さんが欠勤を開始してから2か月8日後に休職とされ、その1か月後に休職期間満了による退職とされたことについて、会社では、欠勤期間が3か月あるいはそれ以上に及んでも休職や退職扱いしなかった例が多くあること、宮田さんには復職の意思があり会社もこれを認識できたこと、会社がこれまで組合からの脱退勧奨等の不当労働行為を行っていたこと、宮田さんを皮切りに組合の役員らに対して次々と雇用が打ち切られる措置がとられたことなどの一連の経過から、組合に対する嫌悪に基づき、組合員を会社内から排除するために、宮田さんを退職扱いしたものと認定し、不当労働行為にあたるから退職扱いは無効と判断した。今回の最高裁の決定は、名古屋高裁判決を認めたものである。これは、鯱第一交通における深刻な不当労働行為の実態を真正面から認定した高裁判決を確定させ、同じく鯱第一交通を相手に中央労働委員会に係属している不当労働行為再審査請求事件の審理にも大きな影響を与えるものである。何よりも同様の不当労働行為に苦しむ全国の第一交通グループで働く労働者に大きな希望を与えるものと考えられる。他方で、書記長について不当労働行為を認めながら、委員長の成田さんの懲戒解雇を有効と判断したことについて最高裁は、上告棄却・上告受理申立を受理しないと判断した。これは、判断として一貫していないものである。

第一交通は不当労働行為を止め労使関係を正常化し、関係法令を遵守せよ

鯱第一交通に対しては、今回の判決を重く受け止め、不当労働行為を直ちに止め、労働法の遵守と正常な労使関係の構築を求める。さらに実質的に労働組合排除を指示してきた第一交通産業労働組合は、全国に展開する傘下の第一交通グループ各社における不当労働行為の根絶と、労働基準法等労働法を守り、労働者と労働組合の権利を保障することを求める。さらに、乗客の安全を守るためにも道路運送車両法などの関係法令を遵守し、企業としての社会的責務を果たすよう求める。

愛知県労働委員会の機能不全と改革の必要性

あわせて、高裁、最高裁が認めた不当労働行為を同じ証拠に基づいて審理しながら、不当労働行為の救済機関である愛知県労働委員会が、不当労働行為を認定せず、申立を棄却したことは、愛知県労働委員会が労働者の救済機関として求められる役割を果たしていないかということを浮き彫りにした。今回の鯱第一交通事件の名古屋高裁判決・最高裁決定は、その必要性を明らかに示したものである。今後、愛知県労働委員会が本来の労働者救済機関としての機能を取り戻すよう、愛知県労働委員会に改革を求めるとともに、公益委員に労働法学者が一人もいない、偏った労働者委員の任命など、愛知県知事に対して、不当労働行為の救済機関として法の趣旨にしたがった任命がされるよう、不当労働行為の救済を求めて労働委員会に救済申立をおこなっている諸労組とも協力しながら、改革を求めていくものである。

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