【談話】第48期愛知県労働委員会労働者委員の不当任命に抗議する

大村知事は労働委員会を再生し労働者の信頼を取り戻すために責任を果たせ

 愛知県は11月28日、第48期愛知県労働委員会委員の名簿を公表し、本日付けで任命した。今回の任命もまた「連合愛知」に所属しない愛労連や中立労組の候補をすべて労働者委員から排除する極めて不当なものであり、大変遺憾である。1989年の労働戦線再編以来、19期38年もの長期にわたるものであり満身の怒りを込めて抗議する。

 この不当任命を争った1999年5月の名古屋地裁判決では「労働組合運動において運動方針を異とする潮流・系統が存在する以上、労働者委員の構成においては多様性を有することが望ましい」、「今後はより多くの労働者に支持される合理的選択を」と知事に是正を求めた。ところが大村知事は、就任から14年経つが旧態依然たる不公正な任命をまたもや繰り返した。

 今回の任命にあたり、愛労連と中立労組なども加盟する愛知国民春闘共闘委員会、名古屋ふれあいユニオンは、知事に対し県内外から寄せられた愛知県労働委員会委員の公明正大な任命を求める個人署名3698筆、団体署名509団体分を提出し、労働者の信頼を失墜させてきた愛知県労働委員会を再生するための選任を求めてきた。その内容は、①労働者委員の連合愛知所属者以外を排除する偏向任命を改め、公明正大な任命を行うこと、②公益委員に専門家である労働法学者や労働法に対する知見の深い弁護士を入れること、③公労使すべての委員で女性を4割以上(各3人以上)にし、5割をめざすこと、④労働者委員の構成を労働者の実態を反映したものにすること(非正規労働者の任命、医療・福祉分野からの任命)だった。

 これを受け、公益委員に第24期(1977年10月)以来、約半世紀ぶりに労働法学者が任命された。これは、不当労働行為救済申立事件で繰り返されてきた不当な判断や南医療生協労働組合に対する不当労働行為に公労使委員が関与するという前代未聞の事件が起こされる背景に、専門家である労働法学者が公益委員にいないことが最大の原因であることを指摘し、第45期選任時から6年にわたって要求してきたことの成果であり、知事の決断を歓迎し評価する。

 しかし、それ以外はすべてゼロ回答である。非連合候補の排除はもとより、女性委員は公労使すべてで8人しかおらず4割にも満たない。とりわけ労働者委員においては7人中2人であり、愛知県が男女の賃金格差でも女性管理職比率でも全国最低レベルにもかかわらず、今回の任命はジェンダー平等実現に向けた知事の姿勢が問われる。

 知事は、経営者による不当労働行為に苦しめられ、救済を求める労働者・労働組合の声が聞こえないのか。今回の任命結果は、いま不当労働行為の救済を求めている労働者・労働組合にとっては不安・不信でしかないし、新たな救済申立を躊躇する事態も生まれかねない。

 愛労連は、この任命に断固抗議し、知事が不当任命を改めて選任をやり直し、愛労委の再生と機能回復を図るよう求めるものである。

2025年12月1日

愛労連事務局長 竹内 創
(愛知県労働組合総連合)

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