ご存じのことと思いますが、6月11日は「学校図書館の日」です。
そして、いよいよ文部科学省が図書の更新、新聞の複数紙配備および学校司書の配置拡充をはかることをめざして策定した「第6次学校図書館図書整備等5か年計画」の最終年度を迎えています。
日頃より、学校教育の充実にご尽力されている貴職に心より敬意を表します。
しかし、残念なことに愛知県の小学校児童1人当たり学校教育費は90万円以下に留まり、47都道府県の最下位グループに甘んじています。その典型的な事例のひとつとして、県内24もの市町村で学校図書館司書(以降、学校司書とします)が未配置となっている「学校図書館」のぜい弱さがあげられます。そして、そのぜい弱さは予算不足から新書の購入がかなわず更新がすすまない蔵書やその保全・管理に努める学校司書の労働条件にまで影響を及ぼしています。
「学校図書館の日」の由来は、1997年6月11日に「学校図書館法の一部を改正する法律」が公布・施行されたことにあります。その後、2014年6月26日に公布された改正学校図書館法は、その趣旨を「学校図書館の運営の改善及び向上を図り,児童生徒及び教員による利用の一層の促進に資するため,司書教諭等と連携しながら,その機能向上の役割を担う専ら学校図書館の職務に従事する職員を学校司書として位置付け,これを学校に置くように努めること等について定めるものである。」とし、学校図書館における教育の充実のための地方交付税措置を活用して学校司書の配置に努めるよう促しました。
ところが、国(総務省)から学校図書館図書費として基準財政需要額に算入され地方財政措置された交付税が、市町村では学校図書館の充実に活かされず、「子どもたちの本を買うための予算が目的外流用されている」との由々しき報道がなされています。
そのような事態が事実であれば、県としての実態把握を行ったうえで、国に地方財政措置の拡充を求めることや、市町村に対して法律の趣旨に沿った学校図書館の充実を促すことが必要と考えます。
また、学校司書のほとんどは、地域でくらす会計年度任用職員の女性たちです。専門職であるにも関わらず約半数が年収103万円以下のいわゆる「扶養の範囲内」、まさに官製ワーキングプアと評される働き方を市町村から強いられています。
これでは、「行政」や「教育」の分野で順位を落とす愛知県のジェンダーギャップ指数及び低位に推移する男女の賃金格差について、全国最下位グループからの脱却をめざす県にとっても、それらを阻害する要因となることは言うまでもありません。
つきましては、下記のとおり、県内市町村での子どもたちの学びと読書の機会の平等、子どもたちと本を結ぶ司書がどこでも安心してやりがいを持って働き続けられる労働環境の整備等をはかり、すべての学校図書館の運営の改善・向上をはかるため、知事・教育長としての役割を発揮いただくよう、緊急ではありますが要請書を提出させていただきます。ご対応のほど、よろしくお願いいたします。
記
1.学校図書館法の主旨を踏まえ、学校図書館の運営の改善及びその機能向上の役割を担う専ら学校図書館の職務に従事する職員を学校司書として位置付け、学校図書館すべてに配置するよう教育委員会および市町村に働きかけてください。先ずは緊急の対応として、学校司書ゼロ配置の市町村をなくし、県内での地域間格差の是正、最低限の機会の平等がはかられるよう役割を発揮してください。
2.学校司書の配置にあたっては、その専門性等が一層発揮できるよう、継続的・安定的に職務に従事できる環境への配慮の上、司書教諭等の授業負担の軽減と合わせて、1校1名、専任(フルタイム)を原則とし、専門性(当面は、司書資格科目や「学校司書のモデルカリキュラム」を履修)を有する正規職員とするよう教育委員会および市町村に働きかけてください。なお、現に会計年度任用職員として任用されている学校司書については、当面、本人の希望を前提にフルタイム勤務化をはかるなど対応し、速やかに学校図書館の運営の改善及びその機能向上をはかるよう、人的整備の拡充をはたらきかけてください。
3.文部科学省「(第6次)学校図書館図書整備等5か年計画(R4年度~R8年度)」で掲げているア)学校図書館図書の整備、イ)学校図書館への新聞配備、ウ)小・中学校等のおおむね1.3校1名配置、将来的には1校に1人の配置をめざすとした学校司書の配置目標について、県内すべての学校図書館における達成状況と学校図書館図書費(普通交付税)の教育委員会および市町村ごとの執行状況を把握し、県として公表してください。
4.子どもたちの学校図書館の充実の為に交付された「学校図書館図書費」については、たとえ普通交付税として市町村に交付された財源であっても、倫理観に沿って代替・流用を慎み、子どもたちの学びに資する新書の購入および蔵書の更新など、学校図書館の充実のために確実に執行されるよう、県として市町村にはたらきかけてください。
5.文部科学省が策定する令和9年度からの「(第7次)学校図書館図書整備等5か年計画」の実行を見据え、公立学校に学校司書を1名配置できる十分な地方交付税措置がはかられるよう県から国に要請してください。あわせて、当面の措置として、学校司書がいわゆる「官製ワーキングプア」の水準で任用されることのないよう会計年度任用職員の雇用の安定および処遇の改善に必要な地方財政措置を総務省に要望してください。また、司書をめざし懸命に学ぶ学生たちに展望と希望が抱ける学校図書館の維持・発展に努めてください。
6.小学校児童1人当たり90万円以下に象徴される愛知県の学校教育費の低い水準を大幅に拡充し、子どもたちの意欲の向上はもちろんのこと、学校司書を含む公立学校ではたらくすべての教職員の働きがいを高める魅力的な学びの環境づくりに、役割と責任を果たしてください。
以上






