愛知県最低賃金を1800円以上に引き上げること、生計費重視の審議と意見陳述、中小企業支援を国に求めること、及び早期発効を求める意見書

愛知地方最低賃金審議会 御中

名古屋市熱田区沢下町9-7労働会館東館3F
愛知県労働組合総連合(愛労連)
議長 西尾 美沙子

1.労働者の生計費を重視した審議を行うためにも、「最低生計費試算結果2026年版生計費の説明時間を設けること。愛知県最低賃金を1,800円以上に引き上げることを求めます。

(1)最賃法第9条にある「労働者の生計費」「賃金」「通常の事業の賃金支払い能力」、これまで審議会・専門部会を傍聴する限り、「生計費」に関する資料と審議が極めて不十分です。
 最賃法25条には「審議に際し必要と認める場合においては、関係労働者の意見をきくものとする」と明示されています。愛労連が公表した「最低生計費試算結果2026年版」は、関係労働者の意見も聴いた試算です。法9条、25条を重視されるなら、少なくとも試算結果の説明時間を設けてください。
 7月1日、大村県知事と小林愛知労働局長が意見交換し、知事は物価上昇が長引いているとして最低賃金の引き上げを求めたと報道されました(7月2日・NHKテレビ・ラジオ、中日新聞)。大村県知事が「最低賃金には『生活に必要な費用』を保障する側面がある」と発言されたことは、まさしく「生計費の重要性」の指摘だと思います。生計費重視の審議、試算結果の説明の場の実現を強く要望します。

(2)愛知県が発表した「2025年平均 あいちの就業状況」(2026年2月27日、愛知県発表)によると、県内の非正規労働者数は135万2,000人で、労働者全体の36.5%を占め、2021年以降で最高となっています。そのうち女性は92万9,000人で、非正規労働者の68.7%が女性労働者となっています。
 さらに、今年3月に発表された「2026年の都道府県別版ジェンダー・ギャップ指数」によれば、愛知県の「フルタイムの仕事に従事する男女間の賃金格差」は全国46位であり、男女賃金格差が全国で2番目に大きい不名誉な結果となっています。月額で女性は男性より9万5,300円低い状況にあります。最低賃金の引上げは、多くの女性の賃金を底上げし、愛知県のジェンダー・ギャップ解消に向かうためにも必要です。

(3)7月1日の報道によれば、今年の飲食料品の値上げが2年連続で2万品目に達するとのことです。原材料費や、物流費などにかかわる値上げもあります。物価高騰でとりわけ非正規労働者の暮らしは厳しくなります。奨学金の返済がある学生のアルバイトを支援する意味でも最賃の大幅引き上げは必要です。

2.全国的に当たり前になっている意見陳述を実施してください。とりわけ社会的に問題になっている低賃金・人手不足のケア労働者の意見陳述に実現に向け、会長の英断を求めます。

 意見陳述については、37道府県(全国79%)で実施されています。愛知でもそろそろ重い腰を上げて実施してください。昨年は岐阜でも行われ「多様な意見で審議が深まった」との感想が委員から聞かれています。
 令和7年賃金構造基本統計調査(愛知)を見ると、医療・福祉施設等は全産業平均と比較して約6万5千円少なく、訪問介護従事者は約4万3千円少なくなっています。非正規労働者は最低賃金の引き上げがあって、賃上げされるというのが現場の実態です。
 これまでの審議会では「労働者の意見を反映した審議をしている」との発言がありますが、このようなケア労働者の実態がこれまで審議に反映されたことがあるでしょうか。
 2025年の愛知における主な産業別就業者数は、①製造業99万8千人、②卸売業・小売業63万3千人、③医療・福祉52万6千人となっており、医療・福祉は前年比7.8%増と、他産業と比べても突出して増加しています。ケア労働者の意見陳述を求めます。

※意見陳述を実施していない都県:群馬、東京、山梨、長野、富山、石川、福井、静岡、愛知、三重

3.最低賃金引上げを円滑に進めるため、中小企業に対する特別な財政措置を政府に要望し、その旨を答申に明記してください。

 最低賃金の引上げを円滑に進めるため、社会保険料の事業主負担分の免除・軽減等、中小企業に対する特別な財政措置を講ずるよう政府に要望し、その旨を答申に明記することを求めます。
 令和5年8月4日の「答申」には、「政府に対する要望」が文書で付けられていますが、令和6年、7年には使用者代表からも支援の要望があったにもかかわらず「要望」がありません。
 なお、愛労連は6月5日、愛知県知事に対して、他県で実施されている「賃上げした企業への財政支援」を愛知県としても具体化するよう要請したことを申し添えます。

4.公開審議を拡充し、答申書に改定理由及び根拠を明記してください。

 休会中の打合せについては可能な限り短縮し、県民に開かれた場での充実した審議を求めます。答申書には改定金額だけでなく、他県答申書にあるような理由及びその根拠を明記されるよう求めます。

5.新たな愛知県最低賃金の発効日が10月1日となるように審議をすすめてください。

 愛知県最低賃金の発効日が10月1日となるよう、審議することを求めます。
 昨年、一部の都道府県で生じた大幅な発効日の遅れは、最低賃金近傍で働く労働者だけでなく地域経済にとっても重大な問題となりました。労働者の期待を裏切り、働く意欲を奪い消費を冷え込ませるものでした。さらに、行政や県政への信頼をも損なうものでした。

以上

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