生計費を踏まえたまともな資料も審議もない答申には納得できない、再審議を求める
8月5日に開催された第527回愛知地方最低賃金審議会は、愛知県最低賃金を現行の時給1,140円から55円引き上げ、1,195円とする答申を行った。
今回の引き上げ額は、中央最低賃金審議会が示した目安額を1円上回った。愛知県が中央の目安を上回るのは11年ぶりであり、最低賃金の大幅引き上げを求めてきた労働者・労働組合、関係団体の運動と世論を反映したものとして、この点は評価する。
しかし、食料品、光熱費、家賃など生活に欠かせない支出が増え続けるなか、55円の引き上げでは、最低賃金近傍で働く労働者の生活を立て直すことはできない。時給1,195円で1日8時間、月22日働いても月収は約21万円にとどまり、税金や社会保険料を差し引けば、健康で文化的な生活を営むことは極めて困難である。
今回の審議の最大の問題は、最低賃金法第9条が考慮するよう求める「労働者の生計費」について、最低賃金近傍で働く労働者の生活実態や、生活に必要な金額を適切に示す資料が提出されず、審議でも消費者物価指数の言及にとどまり、十分な審議が行われなかったことである。
第4回専門部会では、事務局を含め、生計費資料やパートタイム労働者の生活実態を示す資料が不足していることが確認された。それにもかかわらず、資料と審議を補うことなく55円の引き上げを結論としたことは重大であり、審議を尽くしたとは言えない。
愛労連の最低生計費試算調査では、名古屋市内で暮らす25歳の単身労働者が普通に生活するためには、月額約28万円、年額約338万円、時給換算(月150時間)で男性1,889円、女性1,874円が必要との結果が明らかになっている。異議申し出を受けて開催される審議会では、この結果を生計費資料として採用すべきである。少なくとも、国の「令和6年全国家計構造調査―家計収支に関する結果」を用いるのであれば、「無職世帯」や「その他の世帯」を除き、賃金によって生計を立てる「勤労者世帯」の集計結果を使用すべきである。
また、全国の8割を超える地方最低賃金審議会が意見陳述を実施し、生活と労働の実態を踏まえた審議を行っている。それにもかかわらず、愛知では専門部会も審議会も意見陳述を認めず、当事者の声を審議に反映させる道を閉ざした。
異議審では、最低賃金近傍で働く労働者のリアルな生活実態を反映するため、意見陳述を実施すべきである。「55円では足りない」という切実な声を直接聴き、答申額が生活を保障する水準なのか、改めて再審議を強く求める。
また、資料の充実について来年に向けて国に要望する、意見陳述について来年の課題として片付けることは許されない。物価高騰は現在進行形で労働者の生活を圧迫しており、賃上げを来年まで待つことはできない。必要な資料を揃え、必要な審議を行うのは今である。
答申を受け、愛知労働局長は異議申出書の公示を行った。愛労連は、愛知県最低賃金を時給1,800円以上へ引き上げることを強く求める。同時に、すべての労働者、労働組合、関係団体に対し、異議申出書を愛知労働局に提出するよう広く呼びかける。
愛労連は、誰もが安心して暮らせる最低賃金と全国一律最低賃金制度の実現、そのために中小企業への賃上げ支援の抜本的強化を求め、引き続き全力でたたかうものである。
2026年8月5日
愛労連2027年度第1回幹事会






