たたかう労働組合のバージョンアップ

たたかう労働組合のバージョンアップとは、労働組合を、役員が方針をつくり、組合員に行動参加を呼びかける組織にとどめず、組合員一人ひとりが自分の要求を出し合い、学び、語り、行動し、仲間を増やしながら要求を実現する組織へ発展させることである。

全労連がこの言葉を大きく提起したのは、2022年7月の全労連定期大会である。この大会で、今後の運動をすすめる重要な柱のひとつとして「たたかう労働組合のバージョンアップ」が提起され、その後、2023春闘、2024年以降の運動方針でも継続して具体化されてきた。

その中心には、職場の声から出発するという考え方がある。賃金が足りない、人が足りない、休めない、ハラスメントがある、非正規との格差がある、仕事に見合う処遇になっていない――こうした組合員や労働者の切実な声を聞き取り、要求にまとめ、交渉と行動につなげることが出発点である。

愛労連は、この提起を受けて、たたかう労働組合のバージョンアップを「対話と学びあい」と一体のものとして位置づけてきた。つまり、上から方針を下ろすのではなく、職場・地域の仲間が対話を通じて困りごとや願いを出し合い、その背景にある社会のしくみや労働法制、賃金制度、公共政策を学び、要求と行動へ発展させることである。

愛労連にとってのバージョンアップは、単にストライキや行動を強めることだけではない。もちろん、ストライキを構え、団体行動権を実効あるものにすることは重要である。しかしそれは、役員が決めた行動に組合員を動員するという意味ではない。組合員自身が「なぜこの要求が必要なのか」「なぜ行動するのか」を納得し、自分の言葉で語り、主体的に参加する組合へ変わることである。

また、愛労連は、社会的な賃金闘争と結びつけてこの課題をとらえている。賃上げを個別職場だけの問題にせず、最低賃金、公契約条例、ケア労働者の処遇改善、公務員賃金、非正規労働者の格差是正、中小企業支援、価格転嫁と結びつけて社会全体の課題に押し上げるためには、職場と地域で声を集め、要求をつくり、行動する労働組合の力が必要である。これが、愛労連がいう「たたかう労働組合のバージョンアップ」の重要な視点である。

さらに、組織強化・拡大とも深く結びついている。労働組合の存在を知らない人、入っていても活動に参加できていない人、声を上げても変わらないと思っている人に対して、対話を通じて「労働組合があれば職場は変えられる」「要求し続ければ成果はつくれる」という実感を広げることが大切である。組織拡大は、単なる加入者数の増加ではなく、労働者が自分の問題を社会的課題としてとらえ直し、解決の主体になる過程でもある。

つまり、たたかう労働組合のバージョンアップとは、従来の労働組合運動を否定するものではなく、これまで積み重ねてきた要求運動、団体交渉、ストライキ、地域共同、争議支援を、組合員参加型・対話型・学びあい型の運動へ発展させることである。

愛労連の視点でいえば、それは「役員が頑張る組合」から、「組合員みんなが声を上げ、要求をつくり、仲間を増やし、職場と地域から社会を変える組合」への転換である。職場の一人ひとりの声を出発点に、対話と学びあいを通じて、要求実現と組織拡大を一体にすすめることこそ、たたかう労働組合のバージョンアップである。

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